言語聴覚士としての視野を広げ、チャレンジできる環境がここにある
2020年に社会医療法人青洲会に新卒で入職。福岡青洲会病院の回復期リハビリテーション病棟で勤務し、2年目からは百年橋リハビリテーション病院(旧・博多堤病院)へ異動。言語聴覚士として回復期・地域包括ケア病棟および通所リハビリ・訪問リハビリを兼務。
▼目次
・これまでのセラピスト人生
・言語聴覚士として活躍できる環境
・私が大切にしていること
これまでのセラピスト人生
― コロナ禍でスタートした言語聴覚士1年目
私が入職した2020年4月はちょうどコロナ第1波の頃でした。結構制限されることが多くて、オリエンテーションや集合研修等がなかなかできなかった時期でした。夏頃には感染者数が急増し、1ヶ月間ほど現場での勤務が制限されてしまいました。言語聴覚士1年目でこれからというタイミングでコロナ禍となり、担当症例数も少ないままあっという間に2年目を迎えました。百年橋リハビリテーション病院に異動してきた時も、正直かなり不安を抱えた状況でした。
― チャレンジできる環境で成長
福岡青洲会病院では言語聴覚士(ST)が10人程の規模でした。ところが百年橋リハビリテーション病院では先輩STが2人と、同期と私の4人チームでした。振り返ると私にとってはこの環境がとても良かったと感じています。少数チームなので、かなり密にコミュニケーションを取ることができ、分からないことはすぐに聞けてアドバイスをもらうことができます。また、先輩方が身近で私の成長・キャパシティを見守ってくれているので、余裕がある時には「これやってみない?」とさまざまなチャレンジの機会を作ってくださいました。
百年橋リハビリテーション病院では高齢の患者さんの割合が高く、摂食嚥下障害を抱える方が多くおられます。そこで私は、病棟の看護師・介護スタッフに向けたST勉強会の講師を担当しました。院内勉強会とはいえ、教える立場として資料を作ったり、改めて勉強し直すことで私自身の知識の定着にもつながりました。そういった経験を少しずつ重ねることで、不安を自信に変えていくことができ、1年目の経験不足を補う最良の環境でした。
言語聴覚士として活躍できる環境
― 多職種チームで取り組むリハビリテーション
摂食嚥下障害の患者さんへのリハビリを通して、看護師・栄養士といった他職種の方々と連携してリハビリを進める経験ができました。摂食嚥下障害に対するリハビリでは、環境設定が重要です。STは昼食しか見ることができないので、リハビリ中の食事姿勢や摂食訓練の様子をカメラで写真に撮って、病棟の看護師・介護スタッフの皆さんに共有をしました。朝食・夕食時の食事介助の際に参考にして取り組んでもらうことで、早期での機能改善につながっていきます。私たちSTからしっかりと発信をすることで多職種連携が深まり、患者さんのリハビリ環境の向上につながっていく経験ができました。
― 地域と連携した嚥下機能評価体制の構築
新病院になって、今まさに嚥下機能評価の体制づくりに取り組んでいます。嚥下内視鏡検査ができる地域の歯科医院、嚥下造影検査(VF)ができる近隣の病院と連携した嚥下機能評価体制の構築を進めています。当院に入院している間に、STや栄養士が患者さんごとに合った食事を評価し、ご自宅でも安全に食べられるように訓練をして退院していただく。そして、退院してからも定期的に訪問リハビリなどでかかわり続けることができます。「ときどき入院・ほぼ在宅」というビジョンに向けた取り組みだと感じています。
私が大切にしていること
― リハビリメニューより、まずは環境設定
患者さんの能力を引き出すためには、リハビリに前向きに取り組める環境づくりが重要だと考えています。まずは患者さんにとって私が何でも話せる存在になれるように、私とのリハビリが楽しいと感じてもらえるように、患者さんの興味・関心を引き出すことを心がけてます。
ある高次脳機能障害の患者さんは、長い時間集中することが難しい方でした。いろんなお話を聞いていく中で「競艇が好き」ということが分かったので、私は新聞を持ってきて一緒に競艇の記事を見ながらそれを声に出してもらう訓練をやってみることにしました。すると以前よりも長い時間訓練に取り組めるようになり、機能改善へとつながっていきました。
STによる検査や訓練は、堅苦しい勉強みたいなイメージがあるようです。以前、PTやOTの訓練はやるけど、私との訓練はやりたくないと言われてしまったことがありました。その頃の私を振り返ると、機能改善ばかりに目が向いてしまっていて、「このプリントが終わったら次はこのプリントをやりましょう」とリハビリメニューを前に進めることで頭がいっぱいでした。そのような失敗から「能力を引き出すためには、リハビリの内容よりもまず前向きに取り組める環境設定が大事」ということを学びました。
― リハビリの先が見える喜び
一番のモチベーションは「食べる」「喋る」という機能がリハビリによって改善した、その後の患者さん・ご家族が喜ばれる姿を見ることができることです。
先日、通所リハビリに来られている患者さんのご家族から電話がありました。「何ヶ月もご飯の吐き戻しがひどく飲み込みが大変そうだったけど、そちらに通ってから良くなった!」とわざわざ御礼のお言葉をいただきました。地域とかかわり続ける百年橋リハビリテーション病院では、入院中だけでなく患者さんが退院されてからの様子やご家族が喜ばれている姿を見ることができ、とてもやりがいを感じます。
― これからの目標
百年橋リハビリテーション病院は、自分が興味を持ったこと・やりたいと思ったことにチャレンジさせてくれる病院です。
今私は、高次脳機能障害の検査の導入を提案しています。認知症なのか高次脳機能障害なのかが検査することで分かるようになれば、より適切な支援につなげることが可能になります。STである私から発信をしていくことで、患者さんにとっても働くスタッフにとっても安心できる環境を作っていければと考えています。
摂食嚥下障害や高次脳機能障害以外にも、生活期リハビリテーションまで幅広く活躍できるフィールドが当院にはあります。STとしての経験・視野を広げて、新たな目標を見つけていきたいと考えています。
(写真・インタビュー・文:MottoBrand 福井勝雄)
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